マイクロマウスの製作の記録を紹介しています

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■13. マイクロマウス "紫電改"の紹介

 S pec


Size

Width:76mm  Length: 115mm  Height: 35mm

Weight

約126g

Power Supply
HYPERION 25C:LiPo (120[mAh]) 3cell 11.1V 

Control

両輪一体速度PI±角速度PI

Motors

1717T006SR+IE2-512 ×2 (走行)
SCL10-1806×1(吸引)

Driver

TB6612FNG(走行),ZXMN2F34FH(吸引,LED)

CPU

SH7137F 80MHz with 256k EEPROM

Gyro ADXRS610 モジュール(BestTechnology製 (廃番))

Wall Sensors

TPS601A & SFH4550×8

Wheels

POM Diameter:24.5mm  Width:8mm 両持ちベアリング
 pinion: S.T.L.JAPAN  M0.5真鍮12枚 
spur: S50DM 40B-0303  M0.5POM 40枚

Maze solve algorithm

全面探索 (最短経路:時間ベース評価関数搭載)

Speeds

Straight:〜3.2m/s (2013)    → 5.2m/s  (2016)
Turn:  〜1.9m/s              →  1.3m/s〜2.1m/s
Acc:   〜18.1m/ss           →  18.1m/ss〜22.7m/ss

 Introduction

2012年のマウス「紫電」の改良版である。回路はそのままであるが、メカ系、ソフト系にマイナーチェンジを実施した。

ソフトは元モデル紫電から制御と光センサによる補正を3年かけて改良し、2012,2013年と全日本では結果が出なかったが、2014年には地区大会は全て5走を完走、そして全日本でようやく優勝を果たし「吸引マウスは走れない」というジンクスを打ち破った。

2014年前半には新作「黒影」にいったん性能は抜かれたが、黒影のソフトを修正する過程でこちらにも修正を加え、相乗効果で特に直進の性能が向上した。調整パラメータは100を超える

5年間の運用で最短走行が成功した大会では16年度新作の「赤い彗星」を除いてタイムを抜かれたことはなかった。

 Competition Results

大会名 記録 順位
2013 関西地区大会 マウス競技  : 4秒817  1位
2013 東日本地区大会 マウス競技  : 3秒667 1位
2013 中部地区大会 マウス競技  : 4秒296 1位
2013 全日本大会 エキスパートクラス   

予選  : シード
決勝  : 34,069; MTL賞

-
2014 金沢草の根大会 マウス競技 : 3秒164   1位 
2014 関西地区大会  マウス競技 : 3秒367   1位 
2014 中部地区大会  マウス競技 : 3秒634   1位 
2014 全日本大会 エキスパートクラス  

予選 : シード
決勝 : 6,574; NTF賞
 

1位 
2015 関西地区大会 マウス競技 : 3秒901    1位
2015 金沢草の根大会 マウス競技 : 4秒121    1位
2015 中部地区大会 マウス競技 : 3秒362
支部サーキット:5秒855
  
1位
1位
2015 全日本大会 エキスパートクラス   予選 : シード
決勝 :
-
2016 関西地区大会 マウス競技 : 2秒738     1位
2016 東北地区大会 マウス競技 : 5秒476      ※参考
2016 中部地区大会  マウス競技 : 5秒986
支部サーキット:5秒680
      
※参考
1位 


 Media


概要
2013 9.16  台湾国際マイクロマウス大会 出場
2013 11.8  国際ロボット展 株式会社アールティ様ブース デモ走行
2013 12.23  NHK BS-1  3:00〜 Great Gears  (上記デモの紹介)
2015 3.16    APEC2015 MicromouseContest 優勝& Fastestrun
2015 9.11   台湾国際マイクロマウス大会  2位
2016 9.11  台湾国際マイクロマウス大会  優勝

 Mecanical design (2012からの変更点 )


 


@左右モータマウント間にシャフトを追加

ール剛性を高くすることを狙った。シャシーとなる基板の厚みが0.8mmと薄く、中央の吸引ファンによる負圧も加わることで、変更前はU字状のたわみが発生して、車輪の接地が不安定となる懸念があった。

Aコーナーバンパー追加

機体の幅が最も長い部分が車輪であると、壁や柱で車輪がロックしやすくなる。この機体は諸事情でそのような状況となってしまったので、後からCNCで曲面加工したパーツを取り付けた。効果はあり、壁や柱に擦っても回避する確率が向上した。

BモータマウントをPOMからCFRP削り出しに変更

変更前のPOMでは車軸のシャフトに力を加えると簡単に変形してしまっていたので、ギヤの摩耗の進行、タイヤの接地が不安定になるなどの懸念があった。そこでt3mmのCFRPプレートを削り、ボディ剛性を強化した。結果、力を加えたり、衝突させたりしても最後まで変形することなく、期待通りの剛性を得ることが出来た。

ただ、CFRPは厚み方向の力には弱く、その関係で何度か加工に失敗し、仕上げるまでに苦労した。削り粉で手が何日か荒れた。本来家庭用CNCで削るものではない。



C車輪周りの変更

・CNCのみで加工したホイールの真円度がイマイチだったので、今シーズンから導入した旋盤で外形を削り直した。

・シャフトについても以前のものは同軸度、垂直度ともに悪かったので、フランジ付のシャフトを旋盤加工で製作した。車輪のスラスト許容度を0.2mmに抑え、ガタつきも改善した。

BとCの改善により、以前よりも車輪がより滑らかに、そして静かに回転するようになった。また、ギヤの摩耗についても昨年度と比較して目に見えて改善された。



改善前


改善後

D吸引ファンの変更

以前のファンはおもちゃの卓上クリーナーを分解したものを流用していたが心出しが悪く、回すと軸ブレにより振動が発生していた。そこで今回新たに新規でファンを自作した。変更点は以下の通り

・羽根の枚数の変更(5枚→6枚)
・ファン径を少し長く
・羽根の高さを少し長く

心出しも改善され、吸引力も若干向上した。まだ詳細なパラメータを振ってのテストは行っていないので、効率の向上は今後の課題。

 Hardware design

変更無

 Software design

ーン前後組み合わせを考慮した速度設定

斜め走行でV90度や135度のターンは他のターンと比較して旋回半径を小さくする必要があり、Gをかけないようにするためには速度も落とす必要がある。しかし、これらのターン直後に他の速度設定のターンがある場合、なにも対策をしない場合、ターン中に並進速度が変化することとなり、思ったような軌道を描けない事態となる。これは機体が停止しているスタート区画直後にターンがある場合でも同じような状況となる。

今年はそのパターンをいくつか考慮して、同じターン要素でも前後の区画によって、ターンの速度設定を変えるように工夫をした。

切れ補正の2次元化

ターン開始位置がずれていた場合でも、4つある斜めセンサの値から座標を修正し、壁切れ後の座標補正が現実とできるだけマッチするようにした。
ただしそもそもの区画進入角度がズレていた場合までは対応していない。


マイナー変更多数
 
バグ修正多数、パラメータ増強など。

 Movie

no.data

 Future Studies

定度、再現性向上

これに尽きる。もともと設計値はギリギリなので、各種損失を入れると限界を超えた領域で走行していると言える。また吸引力が安定せず、路面の状態にも左右されやすい。段差やターン時の荷重でスカートの隙間からのエアー漏れがあるとすぐにグリップを失ってしまう。また、負圧を上げすぎると今度は走行抵抗が大きくなり、トルクが足りなくなるという制限がかかる。

いずれにしろ、ポテンシャルは非常に高いが、最後まで調整がとても難しい機体であった。

2014以降

変則4輪の特徴をまだいかしきれていない。そのため加減速に無駄があるので、直すとしたらそこを改良していきたい。だいぶ限界は見えてきたが、今年の改良によりさらにパラメータは上げられる感触を持った。


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